惑乱

花吹雪のなかに
風の斜面がみえる
まぎれてしまった道の先まで
あなたはもう
いってしまったのでしょうか
それとも途中の橋の上
欄干に頬杖ついて
花筏のたまりを
みているのでしょうか
わたしはやはり臆病でした
こんなにはげしい散華の森に
ひとり残されて
いったい誰がみちびいてくれるのでしょうか
ああ たしかに風の斜面がみえる
このなだらかな風の谷をくだってゆけば
どうにかなるとでもいうのでしょうか
まぎれてしまった道のはてに
でることができるのでしょうか
そこにも巨大なさくらの老樹があって
時間のかけらのような微細な花びらを
せつせつとちらしているのでしょうか
その樹のもとであなたは微笑みながら
わたしを待っていてくれるのでしょうか







1995年1月20日「童貞詩集」収載。
2014年4月11日、決定稿。
















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by puffin99rice | 2014-04-11 21:30 | その他の詩 | Trackback | Comments(0)

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