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祝祭の薄い青空

1.

ここでは
起こりえないことは
なにひとつないと
ぼくを
尾招きした犬のあとについて
ふかく潜入した
たくさんの
うんこをふんだ


2.

間に合うだろうか
曙光は人形の悪意よりも
はやいだろうか
鍋のなかで白熱する葱や大根も
血をながすのをやめた
石や樹木やフライパンや
ときめきやおどろきも
みんな
夢やぶれている


3.

石英まじりの砂が吹いた
なみだばらばらこぼして
なんだか遠いところにある
坂の上の
紙の家でくらしたことを
思いだしたよ


4.

蛸の気配がする
夜がきしきし軋って廊下のつづき
吊り橋を渡ったところだ
エプロンで顔ぬぐい
洗濯バサミ鼻つまみ
待機していると
男が
冷蔵庫から帰ってくる
よく冷えたからだで妻を抱くために


5.

      脱け殻がみずからを出てゆく
     透明な壁のなかを泳ぎぬける
    未生の記憶に とらわれた少年
   無への成熟を 演繹する少年
  生活のもっとも明るい場所で
 いまでも
濡れている少年


6.

ここはどこだろう
(どこでもいいや)
無形であることの戦慄が
ぼくにかたちを強要する
(どうでもいいや)
あっ 足すべっちゃった
落ちてゆく ここちよい速度が
いまのぼくだ


7.

しずまりかえったひらたい空気の舌に
着地したんだ
物語は負傷していたのに
だれも祈ろうとしなかったんだ
ぼくは涸れた歌をついばみ
終了のはなやぎを享受したのち
産卵のために川をのぼったんだ


8.

鏡面にいのちがはねた
金粉を吸入する徒労のはて
ふるさとの破片が見え隠れする
てんぼうだい
点描のはるかな骸骨
いやだ
そんなもん見たくない
目をつぶって髭を剃る


9.

このまま ふっ
と かき消えて
仮象のそとに出てみたい
等身大の自画像に欠落をかきこむ
めざめのきわの痛覚
その
祝祭のどんぞこの
薄い青空


10.

感傷や郷愁をべつの作法でのんだ
つぎはぎだらけの有明の月を
ちがった角度からたべた
かろやかな下痢や便秘
健康なひとは適度に病んでいる
ぼくは成熟と腐敗の境目をはかりそこね
冬の街路に
夕焼けのようなものを
ながながと吐き出すのだ





































by puffin99rice | 2013-01-27 20:56