とつぜん。ガラスの空、飛散する。罪が。あろうがなかろうが。ろうにゃく、なんにょの。通勤も恋愛も配給も、明日の約束も。ぜつぼうさえ。薙ぎはらい。成層圏まで、立ちのぼる。もしもし、アトムの妹の名を知っていますか。もしもしもし。通信、途絶。


健康のために、朝。体操をした。シャワーあび、完熟トマト食べた。フォーマルに着替えて、ドアを出た。しゅんかん。爆縮した。そして臨界突破。肉体は、水分が蒸発し。炭化。たましいも、水で。できているから、消失し。骨格は、熱風で。ばらばら、吹きとんだ。


ひとりの消失は。その本人にとって、世界の。滅亡にひとしい。いずれ、塵にかえるとしても。おなじ理不尽なら。安らかな、ほうがいい。死においてさえ、不平等な。その常態、その真理から。高純度の、悪意が化体する。飼育できないほどの、巨大さで。


死はいちどきり。第二の死などない。耳ある者よ、それでもよければ。わたしにひれふせ。しもべとなった者には、褒美をとら。そう、でなければ、罰せられるだろう。報復と恩賞こそ、この世のことわり。勝利を願う者は、白い衣を着て。わたしだけに、従うがよい。


幸福を、さがす間だけ、幸福。冒険は、ようよう破綻し。ひとしきり。牢獄のなかの、自由を得て安堵する。何も解決しない、哲学の。ひもを解いて。なみだに、滂沱と垂れ。ながされ、羊飼いに感謝。そんなことは、なかった。し。これからも、ある。ごく、ふつうに。


知性は。縦割りに、破砕する。虹のように、ではなく。比喩の正面で。そこからさきは、説明できない。象徴のような、ひとかたまりの。金属の野菜があるとして。その調理法は、つねに。ぎりぎりの、境界線に。包丁を入れて。刃のさきの。もっとさきから、血を呼ぶ。


油断して、いつもの階段の。いつもでないところに。足を運んで、踏みはずした。世界が転倒し、曲がる遠近法。救急車。夢の出口から、やおら目覚めると。病室のベッドの上。ありふれた話だ。もうじき白衣の黒兎が、冥界からの。招待状を、ごそっと。届けにくるのも。


石をかぶせて、調律する。禁忌を、ただしく。いまわしく、それは巨大な。楽器である。アルケミストの、血涙を。おしみなく貯蓄する。世界の満期に。光の、音響の花が咲く。聴衆は、うがたれて。オーロラのように。波うちながら、恍惚と。蒸発する。


この暑い盛りに。長袖。膝下まであるスカート。髪も長く。うつむくと顔を覆って。高い鼻が突き出る。白い。白いブラウス。白いスカート。青い空。その女が。墓前にひざまずき。手を合わせたとき。スカートの裾が。ずり上がって。白い膝。球体関節。が。垣間見えた。


霹靂に。ひたいを撃ちぬかれる。原色の街。五十年前の少女たちは、いま何を。あるいは、どんな死に方をしたのだろう。蒸発する、たましいの。順番のない、熱気を。半世紀ぶりに訪ねて。人形愛のような思いを、味わいながら。メイプル&シナモン・クレープを食べる。


芸術はみんなのものだから、芸術家は個人財産の私的所有について葛藤するだろう。かれらは国民を統べる国家のための公告塔であらねばならぬ、と強要される。既得権益者の涙ぐましい策謀もある。けれども、真に新しい 芸術家にそんなことを忖度する余裕はない。 


春の耳は沼のようにひらいて山の麓の街で起こるすべての事件を聞いていた。慈雨にうたれてぼくが帰った朝、駅前の横断歩道にヒマワリの群列が咲いた。ハンバーガーショップでハンガーとハードカバーの本を買いハイヤーを転倒させたとき暗殺者の愛の弾丸はわずかに急所をそれた。


そして、いま。刻々と、過ぎてゆく。それを。時間と名づけた、よく。見えるように。時計が、発明された。けれども、それを貯蔵できる。器はなく、誰の。手からも、こぼれ。つづけるばかりの、砂の面影。そんな、あやうい歴史書を。放課後に、読んだ。


死ぬはずのない者が死ぬ。ごくふつうに、なんでもなく。遠いとおい未来に。約束されている、宇宙の。終焉、その。概念さえ知らない、年齢で。恋も。野望もなく、こんなに。晴れ渡った空のした。父・母の待つ家に。帰る途中の、通学路で。ひとりだけ、選ばれて。


ボタンを、かけちがえて。わたしの、かわりに。ほかの誰かが、死ぬ。歩いているときに。いや、家のなかでも。つまずいて、倒れただけで。死ぬときには、死ぬのだ。若いあなたも。あっけなくほんの、ちょっとした差分なのに。運命の。アルゴリズムの、気まぐれで。


骨も。灰も、塵と消える。霊魂も物質だと、知っていながら。祈りつづける、馬も石も。青椒肉絲も、なにもかも。みんな、同じもので。できているから、原子へ。ひとしく、かえる。けれども今日。たまたま、ひろった。へんな形の。冬の河原の、石を愛す。


密告、連行され。異端審問所で、あっさり自白。ええ、詩は趣味で書いてます。しかし、拷問。痛いのは、いやだから。あっさり変節。ええ、もちろん。「詩に死ぬ教」の信徒です。てなわけで、情状酌量もなく。火あぶりの刑。が確定している。


冬の街路を。ひびのはいった、いちまいの平面が。とんでいた。走って、走って。追いついて、もってかえって。欠落にあててみたら、ぴったり嵌まった。やはり。むかし、自分に自信がなくて。わざとはずして捨てた、わたしの素顔が。映っている、窓だった。


骨をひろう。最後に。頭部残欠を、容器に、おさめると。残りの。かけらと、灰を。ほうきで、ゴミのように。ちりとりにうけて。告げられる。これで、終わりです。またのお越しを、お待ちしてます。と、ふかぶかと。いちれいされる。


祈れ、誰か。自分以外の者のために。世界よ、わたしたちを。祝福するな。美しく残酷な、冬の。煉瓦路に、かすかな。響きを拾う。この下に、廃墟があるのだ。むかしむかし、宴のおわりに。遺棄された。意味のない、しかし。黄金の韻律をもつ。言葉の組み合わせが。


そうして、自然を愛しながら。それだけでは、生きられない。人たちが。仮面階級と、称されるときが。必ずくるだろう。辺境や観光は、都市の疲労の受け皿だから。こころして、夢みるがよい。誰も、ひとりでは。立ちなおれない。


たましいにも、言い訳が。必要だろうか。年の終わりに、きまって。思いだす。遠くではなく、自分のなかの。そこに、帰ろう。電飾の街の、幸福論を爆砕し。旋風に真向かって、触れば。焼けるように、熱い。氷塊をけずり、百万本の。墓標を建てに。荒野へ。






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by puffin99rice | 2016-12-30 07:48