点燈し、智慧の。眠りを、ひらく。夜の門出に、まず。武装を、解除する。血みどろの、街路の。硝煙のなか、ゆっくりと。移動しながら。あのとき、落としてなくした。コンタクトレンズ、のような。星のかけらの、ような。悔いの、ような。ものを、さがすための。旅のはじまり。



いると思えば、そこにいる。大伽藍でなく、路傍や庭の。名もない祠や、粗末な依代に。あるとき、ホームセンターで買った。2900円の神棚に。ふたはしらの、イメージを込めた。勝手に。その日のうちに、宇宙を創造した神さまと、食べ物の神さまの。エイリアスが、勧請された。



夜。との、まじわりを。ながく。こころみて、いつしか。うすい、水魚となった。ほとんどかたちを。もたぬから、誰にも。見えないが、なにか。そこにあると、かすかに。感知されうる、ような。遊泳を、つづけている。この、金魚鉢みたいな。世界で。



あなたは、終わらせる。ために、やってくる。あるいは、べつの角度から。はじめるために。たかが人類の、概念にすぎない。世界だとしても。宇宙は、ずっとむかし。知らないうちに、ほろんで。わたしたちが、時間の塵芥のような。追憶の、影法師。だとしても。あきらめない。



かれは楽天的、なのではない。そうしないと、自分を保てないから。仲間たちは、それぞれの思惑で。集合離散し、ときに。敵ともなる。ヒーローは。好きこのんで、世界をすくいたい。わけではない。そうしなければ、なにも。はじまらないと、知っているだけ。だからだ。



人は。何もないところからきて、何もないところにかえる。どんな生きかたでも、いまここにあることの。奇跡な。ものがたり。遺すものとてないが、おまえには。手ずから植えた、庭の、いっぽんの。花を贈与する。水をやってくれ。そうして、枯れるころに。わたしを忘れてくれ。



日がさしている。わたしが見える範囲で、世界は。晴れている。明るすぎて、ずっと未来まで。わかってしまう。のは、光が屈折している。からだ、どこかが。歪んでいる。だまされるな、つねに。自分の視野から出て、負傷しろ、と。吊られた男が、警告する。



かけがえのない、今日が。なんでもなく、おわる。そしてまた。なんでもない、明日が。かけがえなく、はじまる。なんの、へんてつもない。過去を。かけがえなく、つみかさねて。ある日、かけねのない。しあわせを、かんじる。ひとときも、ある。



みずうみは、傷ついて。かがやいた。上澄みから、抽出する。星座の饒舌、月光の独白。いのちの、影の。鏡面に、反射する。伝言を、秘密の。みなもとへ。きれぎれに、運び去る。風。傷つけても、傷つけても。夜ごと、わたしは。漕ぎだす、紙の。舟で。



息苦しくて。溺れる夢から、さめると。デスクに、突っぷしていた。よだれの量が、もうすこし、多ければ。いつか、座した姿で。死ねるのだろう。もうじき、夜があける。さけられない、徒労のような。よろこびの。朝いちばんの、これもまた。そのまま、詩である。おはよう。



黄昏が、息せき切って。慰めにくる。恥じるべきだろうか。あこがれを、棄却して。未来から。ふりむいて、見て。しまった、わたしを。積乱雲のような、何かを。達成するはずだった。夢があれば、みじめな現在も。がまんできる、と。あんなにも、かたく、完璧に。錯誤していたのに。



前のめりに、走りだす、道はむこうから、巻かれるように、せまって、遠景はたちまち、うしろへとぶ、雲の切れ間の、明るい空の真下には、何かがある、誰かが立っている、約束が待っている、夢はいつだって、現在未完了、口笛ふいて、今日も、行けるところまで、行くのさ。



ぼくの約束と、きみの。約束が、すれちがった、岬の。断崖で、手をふっている。のは、古びた映像と。その涸れた、言葉。たがいに、傷つけあった。妥協のない、出血の季節を。いま遠くから、ながめて。断罪の、ふりをしている。それなりに、たのしい。歳月の澱み。



それは。誰もが花を願った。永久凍土に種をまいて、神々は山巓から去った。人はたかだか百年も、生きられないので。その決裁に、気がつかなかった。あらそいはやめるべきだった。農夫として、不毛の地を。開墾すべきだった。寒い国の、さいはての。ある部族の神話である。



悩む、ひまはない。夜は急げ、わたしは明ける。夜の臥所を。闇のまにまに、あなたが手をふる。結ばれているのは、今生だけ。昼は急ぐな。日だまりで、抱きしめ合おう。なぜ、いまが。永遠に続かないのか。夢からさめて。涙のあとに、朝は歌え。残された、時間のかぎり。



海の。気配が、せまる。夕まぐれ。三叉路や四つ辻、六道。どこへでも、つながっている。あまたの、道をよりわけて。知っている、道だけを歩く。いつからだろう、道が。帰るための、ものになったのは。なぜだろう。幸福が、家路をたどる。愚者のように。うしろめたいのは。



冠称や賞罰は、自己規定。のようなものだから、それを。防波堤にすると、海は遠ざかる。夢はいつも、名をもたない。未発見の島みたいだ。隠された宝を。手にするのは、冒険と。リスクと徒労。そして必敗の、覚悟だと。足のない、賢者が語っていた。



庭の、木の枝が。しなやかに踊っている。視覚のなかで、風がつよい。雲は蒼穹の、隅に。吹きとばされて、明るく。ひろがる、空虚。窓ガラスに、変わりはてた、わたしが映る。鏡像反転し。今日もつつがなく、むかしの。傷に水をやる。



割れてくる、日々の。空が。崩れ落ちて、地上で。ひびく。多くのものを、こらえていた。積み重なって。鬱屈する、優しい言葉には。かぎりなく。傷つくから、がんばれと。気安く言うな。誰のものでもなく、空は。なおも、ひび、割れて。ゆく、ばかり。



ひろっても、ひろっても。なくならない。星のかけら。運命の塔も被災した。とつぜん落命する、確率を。考えながら、午後の。コーヒーをすする。どこまでいっても、はてのない。時間のループ。わたしは今日、ひとつ。いいことをした。が、それは秘密である。



脱ぎ、すてるべき。冬の若さの、満月の。なごりを、追って。閉所から、銀河まで。たどった睡眠の、ストレスを。逆演算して、帰路につく。安全な場所を、手に入れて。しまったら、もう。冒険も詩も、恋も。趣味にすぎない、と。しきりに、うずく。



道標。ふりかえって、あなたは。はじめて、こちらの。ほうを見た。まなざし遠く、わたしではなく。背後はるかな、時間の巻末を。導かれて、わたしも。ふりかえる。節制に、磨かれた、世界の終了を。確認して、青ざめる湖に。賢者の石を、投げいれる。









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by puffin99rice | 2017-02-28 14:38