北園克衛「花」について

雨の音とともに
黄梅が匂ってきた

風さへつのり
夜がふけていった

ひとり
詩集をひらき

友の詩を
すこし読み

菫さく野をおもひ
遠い山河をおもった

そして疲れ
おもひも尽きた

暗い部屋にゆき
風のように眠った





 「独特のスタイルで書き、しかもその内容も意味も説明不可能な詩を書く詩人」(安西 均)と思われ、「モダニズムの衣装をつけた古武士」(吉本隆明)とも言われた北園克衛。一般には「骨/その絶望/の/砂/の/把手」ではじまる「夜の要素」の作者として知られている。でも上喝の作品のようなものもある。このへんが「古武士」なのかも。かれ自身の分類に従えば「古風な抒情詩」というわけだが、私はこういうのも大好きだ。寂しさのカタルシス。解説無用、読めば、たしかな効能がある。孤独な夜に是非おためしください。
 って、これではただの紹介文だね。うーん。まっ、いいか(笑)




●北園克衛(1902~1978)

三重県生まれ。昭和初期にシュルレアリスムの詩運動から出発。新しい言語機能の探究者としての印象がつよい。美術評論家でもあった。




  初出 現代詩フォーラム(2003−10−23)

# by puffin99rice | 2017-03-20 09:57