poetarot(運命の輪のカード)保存版

遠近に、炸裂し。やがて、かぞえきれない。花びらを散らす。春のおわりの、夜の宴。月明かりに、焼ける書物を。飽きもせず、捲りながら。のみついで、のみあかし。暁闇。かぞえきれない、死者たちと。ひととき、まじわる。



風が、うすく色づき。ひるがえる時間の。めくれた表層あたりに。指を突き入れたい、衝動を。かろうじて抑える。だって、そこは生傷だから。どこからきて、どこへゆくのか。その設問は、まだ生きている。ああ、鼓膜に。水の音がする。もとめているのだ。なおも、瀑布を。



日常といい、非日常というが。それは、はたして。ちがうものなのだろうか。そもそも対立する、概念なのだろうか。どちらも、同じものではないか。リアルと仮想現実もまた、そもそも。どちらも、感覚して認識するのは。わたしなのだから。



若者、あなたも。トシをとる。死ぬ。限られている、時間のなかで。人間、だれもかれも。ちがいはない。ただ、ひたすらに。現在があり。富も名誉も、むなしく錆びて。残された言葉に、ひととき。花のように、飾られる。それだけが、わたしの。気がかり。



花のかほりに。むせて、谷底をのぞくと。水が、のたうって。斜面を、低いほうへ。より高さの、劣る場所へと。争うように、流れていた。川は、そうするしかないから。おのずから、その姿と。名前を持つ。あなたも、わたしも。



物象は、なべて。はかなく、うつろいやすく。存在は、常に。ふたしかな、概念に。すぎないから、おたがいの。裸体の、すみずみを。まさぐり、舐めつくした。はるかな夏の、夜の。激越な記憶も。いまは怪しい。



あたまかず、を。そろえようと。している。かずが、みたされれば。よのなかを、かえても。いいと、おもっている。いつもいつも、そのなかへ。かぞえられる、ことを。きらう、ものが。いると、いうのに。



あ。ぼくは、つまずいた。地球に。うつむけに、たおれふして。おもわず、手をだして。かばった、その位置に。あなたが、あおむけに。待っていた。大団円の、幸福。銀河はみだれ、宿命は。錯綜して、月のうさぎを呼んだ。このたびは、まことに。ぴょん、なことで。



毎日、道におちている。星のかたちの、空隙を。ひろって、夜の館で。みがいて、朝にすてる。祈りでも、野望でもなく。儀式でも、企みでもなく。みかえりも、収穫もなく。ごくふつうに、なんでもなく。死ぬまで、くりかえす。



あのころ。恋は、呪いのように。はじまって、夢のようにさめた。それは嘘。しあわせのせいで、魔法を。うしなった、家庭とひきかえに。それも嘘。渇いていた。恋人を、丸洗いして。皮をむいて、たべる。ことばかり、考えていた。



花に、水をやる。わたしが、咲くために。だいじな、なにかを。言いかけて、のみこむ。伝えられなかった、言葉は。歳月の、水脈のはてに。ふるさとの、夜の噴水から。ひっそりと。金沙のごとく、こぼれる。



自分さがし、ではなく。過剰な、自分を。捨てるための。旅であった、と。いまなら、言える。双六のようには、あがるはずもない。わたしだけの、地図を。半世紀かけ、ひとめぐりして。ふるさとの海に臨む。彼岸に。オホーツクという名の、都市があるそうだ。



あのとき、道を。右ではなく、左に。まがって。親指をかじる、のではなく。人さし指で、鼻クソを。ほじっていれば。いまと、ぜんぜん異なった。人生だったであろう。1秒の1京分で、差分が発生する。無数のパラレルワールドの、ここで。きみと出会えてよかった。



降下する、いのちは。着地する間に、だいぶ減る。忍耐の。恥辱を、旭光で洗って。青空にひらかれる。千のパラシュート。機銃掃射の、弾幕に。魔法牆壁もなく、さらされる。ひとりひとりの、そして。ひとつひとつの、風船の。ような、かけがえのない。世界の、ひとこま。



二十歳だった。雨の日は、禁呪をとなえ。晴れの日は、敵をもとめて。メガロポリスの、迷宮を歩いた。体験のジャングルジムに、出口はなく。なにを望み、どこへ行くのか。そんなこと、どうでもいいほど。じゅうぶんな混沌に。いったんは死んで、覚醒めると。そこには。



そこには。全部、なかった。はじめから、なにもない。自分を、痛切に。知ることさえ、できなかった。ひとりよがりの、パントマイム。劇場も、観客も。持たない咎で、吊るされたピエロ。ピッ、ピッ、ピエール、ピエトロ、ペトロを。断罪せよ、どこにも。神は降臨せず。



今日も。どこかで、ばくだん。ゆがむ。こわれる。ひき継がれるものが、憎悪ばかりなら。とっくの昔に、滅んでいたに。ちがいない、この世界で。はじめて、武器を。手にしたきみの、まだ細く。きれいな指の、震えを。ずっと、ずっとあとまで。おぼえていよう。



何もしなくても、やがて、無に帰すだろう、宇宙。何をしても、たぶん滅びるだろう、地球。何でもなく、ぼくたち、そのうち、みんな死ぬだろう。せめて、光と風のなかで、生身を感じる、よろこびが、あればいい。そうすれば、何とかなるさ。それなりに。



風の日には、風を。雨の日には、雨を。崇めて、つつがなく。ゆったりと、つづく。カンナガラの道。地脈の動悸に、同期する、種族の末裔。その歌は、慰藉と再生のためにある。ゆるされて、存在は。いちどかぎりだから。森羅万象に。そして、不幸にこそ。祝福を。



隠者の寝室から、数千の。夜を透過する、定点観測。書物のなかに、真理をさがす。地球儀を、指でまわして。全世界を。見たつもりになる。スマホで検索して、現実を。知った気になる。顔も名前も、わからない。不特定少数の、きみへ。メールをうつ。ランダムに。



あなたは。ひとりでに、割れて、かがやく音響。太陽と月の、種を蒔き、廃墟を育てた、夢からさめる。泣きながら、かけら集め、食卓で復元する。微妙にちがう、ごくふつうの、避けられない、朝がくるたび。ひとつずつ、ピース不足して、だんだん低く、細くなる。



ときどき、まわしに行く。絶望屋のガチャガチャで、ゲットしたのは。幸福とひきかえに。魔法がふえる、禁断の。アイテムだった。ぼくにはもう、必要ないけれど。美しく、酷薄に。あなたは、あなたの作法で踊れ。しきたりが、どこまでも。つづくにしても。



弔旗のように、帆を上げて。出航する。白いレンガの、波止場の街を。夕日がぬりつぶす。クルーは来たときと、同じ数なのだろうか。邂逅や訣別の宴が。無限に、くりかえされて。いつしか、すっかり入れかわるのに。あの黒い船だけは、変わらずに。時間の外にある。





https://twitter.com/poetarot




# by puffin99rice | 2017-05-30 00:16