poetarot(貧困のカード)保存版

住むところは必要だから、家賃は払う、年金の半分で、電気はなるべく使わない、テレビはない、食事は一日いっかい、即席ラーメン、動くと疲れるので、掃除もしない、たぶん、このままゴミのなかで死ぬのだろう、生きるのは、めんどうくさいから、それでもいいや。



老後の貯蓄が、はやくも底をつき、いよいよ、単純に、カネがない、ひときれのパンもない、家族も友人もいない、電気もガスも、もうきていない、社会の供給が、みるみるうちに、ストップされて、いずれ、水も出なくなり、そのあと、ばったり、息の根も、とめられるのだろう。



35年の、フルローンの、奴隷になった、無理をしても、美しい妻と、かわいい子供と、過ごすための、家がほしかったのに、がんばって、がんばったから、一家団欒できなかった、払いきれずに、任意売却、自己破産、すべてを失って、やっと最近、少し、笑えるようになった。



家族を捨て、夜逃げして、幾星霜、ほしかったのは、本当に自由だったのか、あれから、ずっと、ろくな仕事にありつけず、フロム・ハンド・トゥ・マウス、住所不定だから、ハローワークにも行けない、パスポートも運転免許証も、とうに失効した、マイナンバー、何それ?



日雇い生活30年、還暦を迎えた、好きなもの、酒、嫌いなもの、身の上話、明日なんか知らない、簡易宿泊所にとまるカネがないときは、公衆トイレにダンボールを敷いて、人生でいちばん辛かったことを思いだしてから寝る、いまのほうがずっとましだと、自分を慰めながら。



手配師が、仕事をくれる、おれは、搾取される、世の中みんな、そうなんだ、文句は言わない、今日、食えるだけの収入があれば、だって、明日なんて遠すぎる、夢とか希望とか、あきらめた、きっと、むかし、家族と食べたバースデーケーキのように、甘いんだろうな、反吐だ。



派遣切りされ、家賃に窮し、アパートを出た、寝泊まりは、ネットカフェ、マンガ喫茶、ファーストフード店と、ランク落ち、所持金がつきて、野宿、はじめは、夜、外で寝るのが怖かった、朝まで歩きまわって、明るくなってから公園で眠った、ホームレスみたいで、いやだった。



父は、母をすてた、身よりのない母は、日払いの仕事で、かつかつ、わたしを、育てた、でも貧乏がいやで、スマホを持ちたくて、自分がいなければ、母の暮らし、すこしは楽になると、勝手な理屈をつけて、高校を中退し、東京へ出奔した、わたしも、すてたのだ、無償の母を。



おちついて死ねさうな草萌ゆる(山頭火)


行乞、ほどこしで酒をのみ、歩きつかれて、ある日、ころりと逝く、いいんだ、これで、獣のように、鳥のように、せめて、虫のように。



ころころ、まるまる、ふとってる、やすくておいしい、ジャンクな、こどもの、ソウルフードさ、しあわせいっぱい、ハンバーグ、マカロニ&チーズ、フライドチキン、ホットドッグ、ピーナッツ・バター&ジェリー・サンドイッチ、ばくばくたべて、コーラ、がぶがぶのんで。



あたま痛いの、おなかすいたの、からっぽなの、なんにもないの、からっぽの家なの、だれもみてくれないの、からっぽの父、の財布、からっぽの母の、言葉、からっぽの朝の、冷蔵庫、からっぽの昼の、学校、からっぽの夜の、寝室、からっぽの明日、からっぽな、あたし。



父ちゃん母ちゃん、こわれた、くずれかけた家で、ひびのはいった、ばあちゃんと暮らす、テレビも、洗濯機も故障して、玩具も風呂もなく、おかねもないので、からだも服も、黒ずんだまま、学校は給食があるから行くけど、運動会の組み体操では、誰も手をつないでくれない。



月12万円の2DKを賃貸契約して、住むところがなく、わけありで部屋も借りられない連中5~6人に、ひとり月3万円で又貸しする、ゲストハウス経営さ、副業だけどね、酷くないよ、この不況、おれもカネほしいし、かれらも固定住所を得て、シノギやすくなるのだから。



母は、わたしを捨てた、ゴミとして、ペットのようにでいいから、愛されたかった、けして、恨まないよ、せめて犬・猫みたいに、愛撫されたかった、そのてのひらの、ぬくもり、ほんのささやかな、熱量を、記憶の傷に、セーブしておきたかった、何度でも、ロードするために。



カネがあれば、みんな、幸福、なわけないけど、ないより、あったほうがいい、契約社員をクビになって、あたしは、途方にくれた、親の入院費どころか、家賃も払えない、すべてをうっちゃって、逃げ出したい、地球の裏側へ、地底の国へ、でも、想像力もないから、ストレスばかり。



たえまなく、指のあいだから、こぼれる、あおざめた馬の汗、いつだって、まちがっている、昼下がりの階層に、ふりしきる、微細な、ブラックアイテム、世界のおわりまで、模写されるだろう、夢のかたみに、矜持を、ふりしぼって、引き金をひく、誤射のように、正確に。



学歴もツテもなく、都会に出た、はじめて愛した男は、ロクデナシ、身ごもったら、捨てられた、男運が悪かった、男が幅を利かす職場で、搾取されつづけた、息子も男だから、成長しても、いいことはなかった、素行不良、不登校、ドロップアウト、そして、家出して行方不明。



ベッドに拘束されていた、神経精神科の閉鎖病棟だ、前にも入院させられたからすぐわかった、またはめられたんだ、やめろ、そんな注射うつな、どこも悪くない、悪いのはお前らだ、みんな気をつけろ、陰謀の罠がはりめぐらされているぞ、ここから出せ、弁護士に連絡させろ。



正月は、なんだっていつも冬に来るんだ、灯油代節約のため、通勤定期の残りの日数、暖房のきいた電車でアパートと職場のあった駅の間を、行ったり来たりして時間つぶし、じき家賃も払えなくなるから、新年早々、住み込みのバイトを見つけなければ。



デモトレードはイケたので、仕事をやめ、親の家を担保に2000万円をつぎ込んだけど、一夜明けたら残金12万円、損切りできなかった、悠々楽々の人生設計のはずが、父さん母さんごめんなさい、妻とは離婚して息子も取られた、なぜなんだ、家族のためと思ってやったのに。



夫に先立たれて、年金が減ったので、遊びにも行けず、折り紙をして過ごすの、おカネのかからない趣味でしょ、思い出を折り込むのよ、でも人生は短く、すぐに思い出はつきて、またはじめから、くりかえし折り込むの、たったひとりで、死ぬまで。



バブルのときはよかったね、仕事はいくらでもあったし、経費は使い放題、毎晩遅くまで飲み歩いたもんだ、マイホームも早くに買ったけど、帰るのも忘れるほどだった、そうとも、妻や子どもに捨てられるほど、会社につくしたのに、最後はリストラされたよ。





(https://twitter.com/poetarot)



by puffin99rice | 2017-12-31 12:39